かわいい年下男子
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1.可愛い後輩




「綾井(あやい)!」


マネージャーの私に向かって、突然の質問。というより、詰問。

ジャージの上着のファスナーを、胸元へひきあげていた手がビクリと止まった。


「藤堂(とうどう)は、まだなのか!」


今日は剣道部のミーティング。

なのにいつまでも姿を現さない後輩の藤堂に、主将がいらだちをつのらせる。

主将の長谷川君は、竹刀を道場床にたたきつけんばかりの勢いだ。


「へっ。ああ、うん。まだみたいだね」

「藤堂は二年生になった自覚はあるのか!」


怒鳴る長谷川くんの怖さといったら、その場にいた後輩はもちろん、同級の男子部員も恐れるほど。


「もう少し声のボリューム落としたら? 新一年が怖がってるよ」

「俺のどこが……」


その強面。とは、本人を前になかなか言えない。


「まったく藤堂は!」


竹刀をにぎりしめまた怒鳴る主将に気づかれないよう、道場をこっそりとぬけだした。

駆け足で、ひと学年下の校舎へむかう。

話題の中心、藤堂を迎えに行くために。







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